先日、ポストの中に見覚えのある天使のイラスト入りの封書を見つけ、「あぁ、あの日からもう20年経つのか」と気付きました。コロナを経て、「ありふれた日常」が、ただいかに幸せなことかを再認識できるようになった今、普通な毎日が続くことだけで十分幸せだったからか、自分たちの歴史が20年刻まれたことに気付いていませんでした。
20年前のあの日。まだお互いの両親も健在で、多くの方々の祝福を受け、第一歩が始まりました。しっかりと固く結ばれた、私たちの一つ目の編み目です。30年余、全く異なる環境の元で、全く違う体験、経験をし、それらから得られた知識や価値観は大きく異なっているもの。あの日から、様々な色の糸で、異なる太さの糸で、一目一目編んできました。途中大きな穴が開かないように気をつけながら。でも途中でほころびてしまったら、都度都度直して。今のところ、私たちの後ろに綺麗な色の布ができつつあります。結婚生活は妥協と受容と忍耐。縦糸横糸の色が合わないなと思ったら、自分の色を強く主張してばかりいるのではなく、どちらかが相手の色にかえてみたり、混ぜてみたり、少し色を薄くしてみたり。このままお互いを思いやりながら歩を進めていけば、きっと最後にはいかにも私たちらしい色の大きな一枚の布が出来上がっているはず。形はちょっといびつかもしれないけれど、その上に置かれた二つの宝物を守り、支えるには十分な厚さと強さと大きさと温かさが備わっているはずと信じて。
次に「25年経ったのか」と気付かせてくれるのは、また天使のイラスト入りの封書かもしれません。でもそれはそれできっと幸せなこと。また今日から、一目一目しっかりと編んで行きましょう。縦糸さん、よろしくね。