最初の出会いは、皇居の近くのフレンチレストランでの食事だったと思います。妻によると、それまで会った人で、ワインをボトルでおかわりしてくれたのは僕が初めてで、それがとてもうれしかったそうです。僕としては、自分がグラス1杯では足りなかっただけですが、これが、付き合いを始めるきっかけとなりました。
とはいえ、ほぼ1年後に結婚するに至ったのは、もちろん追加のワインのせいばかりではなく、互いの性格や価値観を知り、この人なら心の波長が合い、心地よい刺激を感じながらも2人で静かな幸福を紡いでいけそうだという気がしたからです。
その後の四半世紀の間、リーマンショックによる妻の退職とフリーとしての自立、僕の定年退職と自立、親の介護問題などいろいろなことがありましたが、パートナーとしてやって来られたのは、個性が異なっていても、共通した価値観とお互いへの信頼感があり、多少の困難があっても乗り越えられるという安心感を持てたからだと思います。
仕事や友人関係の限られた範囲の中で、価値観を共有できるパートナーとめぐりあうことは簡単ではありません。妻と僕は業種も違い、年齢も比較的離れていたので、キューピッドを介さなければ、出会うことはなかったでしょう。高い精度で自分に合いそうなパートナーとの出会いの場を提供し、お互いをじっくり知るための時間を作ることができるという意味で、このシステムは今の時代も合理性を失っていないと思います。
今回の結婚25周年のご招待を機に、2人で分かち合ってきた年月を財産に、ともに今後の人生をより楽しんでいきたいと思っています。