30回目のお正月

大学時代はバブル全盛期、社会人になって間もなくバブル崩壊で社会が激変する中、結婚しました。
夫は転勤族でしたので共働きは諦め、夫の収入が自分の身の丈と思い、倹約生活に努めました。東京で生まれ育ちミッション系女子大の頃はオシャレに夢中でしたが、どうせ専業主婦になるなら思いっきりヌカ味噌臭くなってみようと覚悟を決めました。既に同級生の半分は
未婚のまま、結婚しても子供なしでキャリアを積む世代になり、私一人が昭和の主婦で少し寂しいと思ったこともありました。そのうち専業主婦は贅沢と言われるほど経済格差が広がり、夫に感謝しながら家事育児と転居に追われました。最後に勝つのは健康という事を社会人の頃に強く感じたこともあり、特に食事には気を付けて外食は殆どしませんでした。
夫が40代に入り、夫の同級生が癌などで亡くなる世代になりましたが、夫は健康診断では問題なくずっと第一線でバリバリ働いていました。50代になって単身赴任で地方で暮らすようになって間もなく、コロナが始まりました。夫の同僚の方々が次々と病気療養する中、夫は休職の方々の分まで仕事をこなしていました。私はずっと手料理を冷凍して送っていました。
やっとコロナが落ち着いて、またお正月を迎える事ができました。30年使い込んだおせちの重箱や雑煮椀は随分と傷んできましたが、それだけの思い出があります。生きていれば何もない事はなく、いつも笑顔で幸せというのは夢物語で無理な話です。それでも家族仲良く過ごせるのは、料理を続けて食卓の温かさと健康を守ってきたからだと思います。

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